2024/11/21 【雑誌】INTERIORS KOREA 2024年11月号

シゴト

WORKS
160

Wonder the one room 

ゼネコン設計部に入社し、丸5年。夫婦ともに30歳の節目となるこの年、
中古マンションを購入し、自邸のリノベーションの設計をしました。

壁で区切るのでなく、雰囲気や空気感で仕切り、
どこからでも螺旋階段とトップライトを感じることのできる、「少し不思議な」ワンルームを目指しました。
リビング、キッチン、ベッド、クローゼットなどの色々なコーナー同士が、
ワンルームの中で適切に距離感を保つために、壁ではない、「wonder」を作り出す3つの要素を計画しました。

一つ目はエリアを横断する土間です。
ワンルームの中央にはモルテックスの土間が広がっています。
なるべく、各エリアのゾーンとは関係ない位置となるように土間範囲を決めました。
それぞれのエリアが分かれながらも繋がっている、「不思議な距離感」を作れると思いました。

二つ目はフルハイトS字カーテンです。
寝室のプライベート感を確保しながら、空間の広さ感・つながり感を最大限に作り出します。
S字カーテンの裏には、L型のカーテンがもう1枚あります。2枚のカーテンを閉じると視線は抜けません。
自分達の気分やトップライトからの光に合わせて、空間の透け感を選択できるように計画しました。

三つ目は魅せる収納としての造作家具です。
ワンルームの中に、壁で囲われた倉庫を作らないためには、生活の受け皿となる使いやすい「魅せる収納」が不可欠でした。
本棚であり、倉庫であり、ディスプレイであり、テレビボードであり、化粧台であり、照明であり、
テレワークスペースである、「夫婦の暮らし」を凝縮した相棒のような存在としてこの造作家具をデザインしました。

建築学科に入った時からずっと夢だった、「自分達のデザインした場所で暮らす」ということ。
30歳になったこの年、ひとつの夢が実現したこの作品を境に、「ゼネコン設計者」でなく、「建築家」として自分達のキャリアを考える大きなきっかけになった気がしています。

伯耆原洋太 伯耆原智世
http://hokibarayota.mystrikingly.com/

CREDIT

種別

リノベーション

構造規模

RC造

設計

施主自主設計

設計担当

伯耆原洋太 伯耆原智世

施工

ルーヴィス

施工管理

佐藤真生子

計画面積

55m2

撮影

中村晃

所在地

東京都世田谷区

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