佐野健太建築設計事務所
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↓以下建築家のテキストです。
静岡市内の中心街、呉服町通り沿いにオープンしたカスタムサラダ店である。
クライアントは、ヘルスケアをつうじて人と社会へ健康もたらすことをビジョンとし、医療・介護・予防事業を三本柱としている企業である。Mr.greenは予防事業の新規プロジェクトとして、「身体をつくるためのファストフード」というコンセプトが掲げられた。
手軽にスピーディーに「ながら」で楽しむスタイルで「ファスト」を志向しつつ、提供される食材は地元静岡産で栄養価の高い「スロー」なものにこだわる。それに応答する空間として、即時ピットイン/アウト可能な「ステーション」、あるいは「ドック」的時間感覚をともなう場所を、できる限り自然由来の建材でつくろうと考えた。
具体的には、
1. 「スローであり、ファストなフード」が味わえる場所
2. 半屋外空間をふんだんに利用できる空間構成
3. 通りに面する立姿でアピールする
を目標に掲げ、造形・素材・色彩それぞれのテーマを設定した。
【造形】
主役である野菜を生み出す源、太陽のかたちであり、完全性や対称性の象徴でもある球体や円形をメインモチーフとしている。我々の身体もまた曲線で構成されており、サラダが盛られるボウルも半球体のものが多い。
【素材】
自然志向のほか、粒子的・破片的なものを意識的に選んでいる。すべての具材が細かく刻んであるチョップドサラダとテクスチュアをあわせる意味とともに、将来の多店舗展開時を見据え、小面積のテナントにおいてもアイデンティティーを継承しやすいよう心がけた。
【色彩】
人々にポジティブな印象を与えるグリーンやイエローといったサラダカラーを積極的に使う一方、呉服町が継承している歴史・文化・品格に敬意を払い、また、シニア世代の利用も多く見込まれることから、受け入れられやすいよう、彩度を下げたチャコールグレーを基調色に採用している。
球体や円形、サラダカラーを背景に撮った写真はSNSとも相性が良い。静岡初のカスタムサラダ店は今のところ勢いよく拡散され続けており、市民の健康に一役買うことを願っている。