(text=福井信行)
既に記憶があいまいだが、長坂さんからこの話を聞いたのは確か2010年の初めの頃だった気がする。
その頃は、さほど気にも留めず「また何か面白そうな事をするんだろうなぁ」ぐらいでしかなかった。
何ヶ月か経ち、長坂さんから「施工で少し協力を仰ぐかもしれない」と相談をされたものの、
少しという事だったのでさほど気に留めていなかった。
しばらくして長坂さんから送られてきたLLOVEの計画概要メールに驚いた。
いつの間にか、僕は実行委員になっていて、LLOVEに名を連ねるデザイナーやサポーターが、
雑誌やネットで一度は必ず見たことのある、メジャーな方達の集合体になっていたからだ。
正直お腹が痛かった。
とはいえ、いつの間にか乗っていた船から既に降りる事は出来ず、僕のLLOVEが始まった。
このプロジェクトが面白かったのは「LOVE」や「Still in LLOVE」のコンセプトを、
各デザイナーが自由に解釈をして、空間やプロダクトを創っていった事にあると僕は思う。
そして一見バラバラのように見える各部屋は「日本のラブホテル」というコンセプトに上手に集約され、
最低限の設備なのに個性的な部屋を自由に選べる豊かな空間にリノベートされた。
そして、今振り返ると奇跡とも思えるが、この空間を創っていったのが、
学生ボランティアの皆だったことだ。
近年セルフビルドというキーワードもよく聴くようになったが、
この規模のものを、2ケ月という短期間で実現させたのは珍しい。
携わった人たちの記憶には必ず残るし、もしかすると日本のリノベーション史にに残るかもしれない。
LLOVEの製作プロセスは、それぐらい素晴らしいものだった。
では自分はどうだったのか?と聞かれた時に、
今言えるのは「実感が無い。。」の一言で、
詳細は整理できていない。
LLOVEは僕にとってそれぐらい壮大で、奇跡的なプロジェクトだった気がしている。