2024/11/21 【雑誌】INTERIORS KOREA 2024年11月号

シゴト

WORKS
267

House M

神奈川県湘南エリアのマンションの内装リノベーション。

既存間取りは、南側の大きなルーフバルコニーが魅力的で、このルーフバルコニーに対して LDK と和室の 2 室が面している状況となっていた。LDK と和室には、それぞれ掃き出し窓 が設けられており、ルーフバルコニーへ行き来できる構成となっていた。

LDK と和室の間の間仕切り壁を撤去し、大きな LDK をつくることから計画をはじめた。 間仕切り壁を撤去すると、LDK と和室に分かれていた窓はサッシ同材のアルミ方立を介し て隣り合っており、1 つの大きな窓として現れた。この窓の存在を、いかに引き立てて魅力 的な環境をつくることができるかが、今回の設計のテーマである。

もともと 2 つに分かれていた窓に一体感を持たせるために、大きな木枠で 2 つの窓を囲う ことにした。この木枠は室内側に広がるようにテーパーをかけたデザインにしており、窓を より大きく見せ、外の風景(ルーフバルコニーの風景)を絵画の額縁のように切り取ることを 意図している。また木枠に奥行きをもたせ、LDK 側とルーフバルコニー側のどちらに向か っても座ることのできる機能性を持ち合わせたデザインとしている。そして、現在は子供の お絵かき机としてもつかわれており、内外をつなぐ窓辺での自由な行為を誘発する装置と しても役目を果たしている。

このテーパー窓枠のデザインは、光庭に面した玄関の窓にも展開している。ここもベンチと して座ることができるようにしている。

仕上や金物、設備機器の選定、キッチン周りのレイアウト等については、施主自身が丁寧に こだわり抜いたデザインを反映している。

既存建物の内装改修は、新築の設計とは異なり、窓の位置を変えられないことがほとんどで あり、その点にもどかしさを常々感じている。しかし、その状況をコンテクストとして読み 取り、内装改修であっても窓辺をデザインし、内外の良好な関係をつくっていくことが、建 築家の役割でもあると考えている。

【文:西島要】

CREDIT

種別

リノベーション

構造規模

RC造

設計

株式会社ユーバイエヌアーキテクツ(占部将吾+西島要)、佐藤元樹

施工

ルーヴィス

施工管理

加藤孝二

計画面積

72.12m2

撮影

中村晃

所在地

神奈川県湘南エリア

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