施主の実家である二世帯住宅の使わなくなった一部分を婦人科クリニックにする計画である。
塀に囲まれた小さな庭を解体し、エントランスとして新しい動線を作った。診察室、処置室など区画が必要な室の間仕切り壁を、面積や通路幅の関係から整理し、既存を縫うようにおおらかな一枚の曲面壁で設えた。
視界を遮る既存の壁と、その先に入り込んでいく新しい壁の関係により、空間に奥行きが生まれ元々住居だった狭小感を軽減した。一筆書きのうねった壁は視点によって様々なシーンをつくり、窓越しの窓からは植物越しの柔らかい光が廊下を優しく照らす。
[文:合同会社流動商店 ]