「//」
築40年ほどのマンションの一室のリノベーションである。
改修後の具体的な用途はまだ決まっておらず、立地や建主の関係性等から、賃貸やハウススタジオ、ギャラリー等さまざまな使い方をしたいとのことであった。
そのため、1DKの部屋として成立させることと、展示や撮影を行う空間として成立させることが求められた。
「居住空間であり展示空間である」という条件に対し、それらの用途を起因としない別の規定を設けることで「〇〇であり△△でもある」という両義性を獲得できるのではないかと考えた。
具体的には、必然的に表れる既存の梁や1DKを成立させるための扉から、外形線や各要素のみを取り出し再配置することで、部屋の短手方向を左右対称に分割することとした。
既存梁の外形に合わせた飾り棚、両引き戸に見える扉、壁面装飾としての引手、各目地等、それぞれの要素を既成の位置関係や用途、寸法等から引き剥がし、左右対称であることを表象する要素としてフラットに扱い配置していった。
空間に現れる左右対称という規定が、まだ使い方の定まっていない部屋へのささやかな手がかりになることを期待している。
[文:塚越喬之]
種別 |
リノベーション |
---|---|
構造規模 |
SRC造8階建 |
設計 |
塚越喬之+株式会社norm |
施工 |
ルーヴィス |
施工管理 |
坂田諒 |
計画面積 |
35 m2 |
撮影 |
中村晃 |
所在地 |
東京都渋谷区 |