神奈川県横浜市にある築50年の木造戸建て住宅を賃貸住宅へリノベーションした。
手つかずのまま放置されていた建物の、廃墟と化しあらゆる動植物の侵入を許すその様は
まるで「野生化した住宅」のようであった。
しかしわれわれは、屋根が落ち、外壁が剥がれ、床・壁・天井といった概念が解体された
その状態に、ある種の美学、あるいは、その可能性を見出した。
それは、構造体/内外の仕上/建具、それら全てが木という単一の素材でつくられた、
日本古来の木造住宅がもつ均質性であり、
あらゆる他社的な存在を許容した開放性である。
そこでわれわれは、それらを丁寧に観察し、ある環境下における差異や矛盾を
共立する新しい開放性の在り方を模索した。
文・岸田佳晃